「六華ゼミ」とは?
札幌南高校の在校生を対象に開講するゼミナールです。卒業生(今年は南48期)の中で様々な生き方をしている方たちによる講義を、複数回開催します。将来の進路選びに役立てて頂ければ幸いです。
2023年度の六華ゼミは、8名から9名の講師によって、6月から12月にかけての実施を予定しています。実施スケジュールについては、5月頃に公開予定です。札幌南高校の校舎内で開講されますが、YouTubeの限定公開URLにて閲覧できるようになる予定です。
南48期主催の『六華ゼミ』は、在校生には「社会の多様性・可能性に気付き、将来の選択に活かしてもらうこと」、そして同窓生の方々には「新たな刺激により、学びの楽しさを再び感じてもらうこと」を目的とします。
今年度はより多くの方々に『六華ゼミ』を楽しんでいただくため、zoomによるウェビナー形式での実施(開催時刻15:30-17:00)、およびYouTubeでのアーカイブ公開を行ないます。
今年度のスケジュールが決定いたしました。各日、札幌南高校視聴覚室において15:30-17:00に開催されます。また、アーカイブおよびzoom視聴についての詳細は、近日中に本ウェブサイトにてお伝えいたします。
各回の詳細についても、本ウェブサイトにて随時更新していきます。ご質問はメールにてよろしくお願い致します。[email protected]
【2023年度 六華ゼミ 年間スケジュール】
各回のアーカイブを、YouTubeの六華ゼミチャンネルにて随時公開しております。
https://www.youtube.com/@user-fl1it2fr5p
第一回 石川理子(いしかわあやこ)さん
https://www.youtube.com/watch?v=GHY38fauj84
第二回 水林亨介(みずばやしこうすけ)さん
https://www.youtube.com/watch?v=3lBZx4EJsd0
第三回 小野修作(おのしゅうさく)さん
https://www.youtube.com/watch?v=3lBZx4EJsd0
第四回 藤原奈緒(ふじわらなお)さん
https://www.youtube.com/watch?v=dHRKNUqF6TE
第五回 高橋知里(たかはしちさと)さん
https://www.youtube.com/watch?v=IxFMJKKX2Xs
第六回 川手有沙(かわてありさ)さん
https://www.youtube.com/watch?v=gpuJqx7RynA
第七回 藤吉匡(ふじよしまさし)さん
https://www.youtube.com/watch?v=lzd2DWha5Eg
※第八回はアーカイブ公開の予定がありません
六華ゼミ第八回のお知らせです。
日時:2023年12月11日(月) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・ 第1視聴覚室
講師:方波見 謙一
職業:救急集中治療医
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
第八回はアーカイブ公開の予定がありません。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください!
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第八回 開催のご報告
12月11日(月)に六華同窓会2023実行委員会による【2023六華ゼミ第八回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
最終回の第八回は 北海道大学病院救急科救急集中治療医 方波見謙一(かたばみけんいち)さんによる講演
『どのように北大医学部に合格したか~救急医につながる大切なこと~』
ドラマでも良く観る救急医と言う職業。医師志望の生徒さんが多い事もあり、本日も満席。学生時代はラグビー部に所属、部活に熱中。漫画やアニメも大好き。テストで0点や、2浪を経験。そこから北大医学部に合格出来たのはなぜか。見た目は一瞬ちょっといかつい?(笑)けどとても柔らかな物腰の方波見さん。最終回もワクワクの止まらない講義、スタートです。
医師を目指したきっかけは、お父様も医者であり、親戚にも多かったから。そして"ER"(アメリカの救急救命室を舞台とするドラマ)や、"ブラックジャック"への憧れから救急医の道へ進みました。治療以外に学生さんや若い先生に教える"先生"もされているそう。どうりで話がわかりやすいわけだ!と納得いきました。
医師の中でも救急医は患者さんの"全身管理"を行う必要があります。緊急度の高い患者さんの状態等を即時に判断し、集中医療にあたる。確かに、交通事故にあって足が折れているのは診てもらえても、脳の怪我は診てもらえない、では命を落としかねません。全ての疾患に対応する、という言葉に改めて救急医の大変さを感じました。
ゼミの折り返し地点。北大医学部に入るまでの経緯が語られます。一浪目で落ちた時に"変わらなくては"と覚悟。打開のきっかけはジャンルを問わずとにかく本を読んだ事。その中で、「時間管理、計画、習慣化、目標の明確化」、そして「まずはじめてみる」事が大事だと気づいたそう。ルーズリーフに起きる時間、勉強の時間、寝る時間など計画を書く。そして計画の振り返りを行い無駄な時間をみつける。目標を書いて毎回勉強の前に読み上げる。まず手を動かす。こうした勉強のゾーンに入るための一連の"スイッチ"が大切。そしてインプットとアウトプットの勉強方法として、問題ノートと暗記用ノートを目的別に作る。間違えた問題は二度と間違えない等々。曰く、この経験や思考方法は、現在のお仕事でも活きている。生徒さん達も、ストレートに役立つ話とあって一
際熱心に耳を傾けていました。
最後の質疑応答。医療、勉強、アニメ(ガンダムの物真似を披露してくれた生徒さんも!)、ラグビー、etc・・・バラエティに富んだ質問が飛び出しました。加えて、中学時代からの友人であるMC鶴岡くんとの軽妙なかけあい。高校時代のオフレコな自由エピソード。大いに盛り上がりました。「コミュニケーション能力は生まれた時からの素質だと思いがちですが、高校生からでも遅くないですか?」と質問していくれた生徒さん。「医師という仕事において一番必要な事は"コミュニケーション能力"。」と繰り返し伝えていました。患者さんに限らず、多くのスタッフの方々と協力しなければならないからです。ただ、難しい事ではなく挨拶など基本的な事で良いのです。「そんな事ない、そんな事ない(遅くない)。」力強い回答に、きっと勇気づけられた事でしょう。
"It’s never too late to mend."(改めるに遅すぎることはない。)講義の最後を締めくくったメッセージです。「諦めるにはまだ早いと思いました。」と言うアンケートもありました。色んな生徒さんが背中を押されたのではないでしょうか。「いつも笑顔」「感謝を忘れない」。浪人時代の目標に掲げていた言葉です。そんな方波見さんの人柄で、教室は終始温かい空気に包まれていました。
今年度、私たちは"多様性、可能性"をテーマに掲げて企画運営して参りました。最終回はまさにその集大成と言った、色彩豊かなオーケストラの演奏を聴いている様でした。全回とも講師のカラー、聴講してくれた生徒さんも様々。初回は体育館、2回目は猛暑のため全生徒下校でZOOM配信、5回目は講師が海外からリモート中継、など形式も様々でした。今悩んでる方も、これから壁にぶちあたる方も。ゼミで聞いた"あの言葉"が困難を突破する力添えになれば幸いです。全8回中、6回以上参加してくれた生徒さんが3人もいました。(48期作成オリジナル卓上カレンダーをプレゼントさせて頂きました。)スタッフ一同感謝しかありません。次年度は新たなテーマで、どんなゼミが開催されるか今からとても楽しみです。
最後に。ご協力頂いた、南高校関係者の皆様、ほぼ皆勤賞で来て下さった岡先生はじめ、当時お世話になった先生方、ヒントを下さった諸先輩方、次年度の準備のため参加して下さった49期の皆様、力を合わせてご協力頂いた現地、遠隔地での48期の仲間の皆様、講師を務めて下さった8名の皆様。そして参加して下さった現役南高校生の皆様。本当に心から厚く御礼申し上げます。
48期のテーマ"Hello,Again!"。ここからまた新たなスタートです。"Let's meet Again!"。また、お会いしましょう!
六華ゼミ第七回のお知らせです。
日時:2023年12月1日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・ 第1視聴覚室
講師:藤吉 匡
職業:Art Director / Designer
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第七回 開催のご報告
12月1日(金)に六華同窓会2023実行委員会による【2023六華ゼミ第七回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第七回は SHIFTBRAIN Art Director/Designer 藤吉匡(ふじよしまさし)さんによる講演
『美大・芸大という存在すら知らなかった人が急に東京芸大を目指し、25年後の今、企業やブランドのアートディレクションやものづくりに夢中になっている話』
Starbucks Coffee, Toyota Dream Car Projectなどのデザインを手がけ、世界最大級のWebデザインアワードAwwwardsの審査員にも選出。世界に羽ばたくトップクリエイターの藤吉さん。しかし目の前にいるのはやや猫背気味で朴訥としたゆるーい雰囲気の青年、、いや中年?100ページ以上の画像、見たこともないぐるぐるのテキスト、斜めに配置されたスライド、すべてが斬新。何度も途中で「え?もうこんなに時間経っちゃった?大丈夫っすか?」と言うたび、周囲からふふふと笑いが漏れ、凪のごとくゆったりとした空気の流れる講義でした。
第一部 美大に出会うまで
南高時代は強豪バドミントン部でベンチをポカポカにあたためていたそうで、成績も下から数えたほうが早く、かといって恋愛関係もさっぱり。仲間に恵まれ楽しかったけど、自身のことは「くすぶりエンピツ、部活ベンチ、割れハート」と、見事な表現につい笑ってしまいました。そうこうしているうちにこじれた反抗期が到来し、豊平橋の近くで3ヶ月ほどテントを張って野宿した、と視聴覚室がザワザワとする驚きの発表。命の危険を感じ11月末で終わりにしたそうですが、ご家族からは「おかえり」のたった一言。そのスケールの大きさが確実に今の藤吉さんを形成しているのだと思いました。なんとなく自分は“服、好きかも”と気づくも、モラトリアムな日々を過ごしていた高3の夏休み、古新聞の中に入っていた“武蔵野美術大学合格作品展”のチラシに惹かれて会場へ。絵で勝負している高校生はどういう生活をしているのか?と興味が湧き、美術の世界へ一歩踏み出しました。南高の美術の先生に相談して上京。まずは専門予備校でデッサン力をつけ、友人と建築巡りをするうちにどんどん立体造形や建築の美しさに惹かれていったとのこと。部活で培った体力・集中力・思考力・洞察力は浪人時代にもとても役立ったそうです。はじめは東京芸術大学 美術学部建築科志望でしたが、熟考の末Red Oceanである同学科を避け、茨城県取手市に1994年4月に新設されたばかりのメディア・アートを含む多様な領域について研究を行うというコンセプトの先端芸術表現科に見事合格しました。
第二部 晴れて東京芸術大学へ
家をテーマに“何か”デザインせよという漠然とした課題に取り組み、スクーターでスズメバチを追って巣を取りに行く大学生活。指導教授の計らいにより、ニューヨークのMoMA PS1という現代美術施設で開催されたBUZZ CLUBという夏の企画展で、人が入れる大きさの蜂の巣を作ることに。自分はただ蜂の巣を取ってきて観察していただけなのに、MAN HIVE(人間の蜂の巣)と名前をつけることで、急に展示のコンセプトに変わるという経験を得ました。その後、他のアーティスト達からもあれこれ色々と頼まれ相当な無茶ぶりに対応しているうちに、ニューヨークで何だかんだと仕事もあり彼女もできて、なぜかDJにもなって人生の春を謳歌していた藤吉さんですが、アメリカ同時多発テロ事件の衝撃、その余波も大きくついに帰国を決めます。帰国後は芸大の現学長である日比野克彦さんの下、日本中の展覧会でワークショップを開催するお手伝いをしていたらあっという間に最終学年に。せっかくだからと芸大の金工工房や印刷工房に足繁く通い、卒業制作に打ち込みました。現在の藤吉さんのデザインスタイルには、この時期に探求したという質感へのこだわり・眼差しが活かされているような気がします。
第三部/第四部 フリーランスデザイナーになるが全然稼げない→ついに就職
就活時期を完全に逸し、フリーランスのto-kichiとして活動を始めます。有り難いことに仕事はどんどん来るが全く稼げない日々。現在の奥様に「結婚するなら就職してね♥」とガツンと言われ、ついに自身の作品を売り込み外資系のクリエイティブエージェンシーに就職。外資系の企業では、予算が多くプロジェクト毎にベストメンバーが選出され、世界中の広告やデザインを意識して様々な生活背景の方々と仕事をするので、国内にとどまらず視野を広く持てて非常に良かったとお話しされていました。費用対効果をあえて考えず面倒でも一手間かけることで自分にしか出せない、奥行きや深みのあるデザインを生み出すということにこだわる作品づくりを心がけていたとのことです。
第五部 日本屈指のweb制作会社から声がかかる / 第六部 個人制作活動
「ここだけの話ですが」外資系の会社はボスがいすぎて誰が黒幕なのかわからない、急に合併が発表され、出社したら知らない人だらけだったという怖い経験を経て、どちらかというと家族を彷彿とさせる和気藹々とした雰囲気や社の価値観が自分に合っていると思い、SHIFTBRAINへの転職を即決します。主に携わっているブランディングではクライアントのことをめちゃくちゃ考え、関連する本や記事はすべて読み、歴史を知る。相手を好きになるくらいまで知ってからスタートするそうです。講義当日着用していた山梨県甲府のcucumuというホールガーメント(無縫製)ニットのブランディングにも携わっている藤吉さん、「なんだかんだ結局、気づいたら服のデザインもやっている!」と笑っていました。企画を練っているときが一番好きで、工作やカードゲーム、お菓子のブランドデザインなど、どんどん活躍の幅が広がっていて、次に目指しているのは絵本づくり。在校生へのメッセージは色々なジャンルの本を読んで、雑多なものからヒントを得てくださいとのこと。タイム・コストパフォーマンスを究極に求められる現代であえて急がずに、本来の人間のペースや自然現象と向き合うことがとても贅沢ですと仰っていました。自分が死ぬその日までデザインをしていたい。野宿期間も飲んでいたという南高の水道水を飲みながら講義をしていた藤吉さん、終了後に視聴覚室から出て行く生徒さん一人ひとりへ丁寧に頭を下げる姿がとても素敵でした。
文責 企画部 鬼原理枝
六華ゼミ第六回のお知らせです。
日時:2023年11月17日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・ 第1視聴覚室
講師:川手 有沙
職業:北海道キャンプコミュニティマネージャー
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
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六華ゼミ第六回 開催のご報告
11月17日(金)に六華同窓会2023実行委員会による【2023六華ゼミ第六回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第六回は 北海道キャンプコミュニティマネージャー 川手有沙(かわてありさ)さんによる講演
『-元小学校教師がキャンプをテーマに情報発信して新たな世界へ-なりたい職業は一つではなくてもいい』
『みなさん こんにちは!!!』目が覚めるような透き通る声の挨拶。皆さんはっと顔を上げ講師を見つめました。有沙さんは17年間もの間、石狩管内の小学校に教師として勤務されていた方です。小学生だった自分の教え子たちが大きくなって目の前にいるような気持ちです、との温かい言葉でゼミが始まりました。2020年にPossibility Labo(通称:ポジラボ)というキャンプコミュニティを設立し、キャンプ地を通じて北海道の四季の美しさ、自然の雄大さと多様性、豊富な食材の魅力などの発信を行い、本年4月には北海道新聞社より『北海道極上キャンプ』という本も出版されました。さて、華麗な転身を遂げた彼女の道のりをのぞいてみましょう。
幼少期は無理矢理父にくっついて朝野球の試合応援へ。休みは決まって家族で道内各地へ出かけ、親戚一同とグループキャンプで休暇を楽しんでいたそうです。南高時代は南北海道大会決勝戦まで進んだ野球部のマネージャー、大学でももちろん野球部のマネージャー。南高の甲子園出場に駆けつけ、アルプススタンドで同期や先輩後輩とともに応援した素敵な思い出を披露してくれました。幼稚園の七夕の短冊に『先生になりたい』と書いていた有沙さん、ついに小学校の教師になるという夢を叶えます。チーム活動が好きで、皆で一丸となり目標に向かって努力し子供達が成長していくということに喜びを感じ、やり甲斐と責任のある仕事に就いて充実した日々を送っていました。小学校教師の業務はあまりに多岐にわたり到底こちらに書き切れませんが、驚いたのは廊下のワックスがけ、教室の窓拭き、屋根の雪下ろし、スキー実習の山作り、地域の行事への参加・交通安全の見守り。これって先生の仕事なの!?ということがたくさんあり、純粋な教育以外にも毎日とんでもない仕事量をこなされている先生たちへ感謝の念を禁じ得ませんでした。
そんな有沙さんは人生の岐路に立ちます。いつしか教育者から管理職としての周囲の期待を背負う年代となり組織のリーダーに進む道、一方は在宅ワークを基本として家族との時間をもっと大切にできるフリーランスという働き方という究極の選択です。年代に応じて自分を取り巻く環境や求められることが変化するのは当たり前。自分の気質や強みを知ること、自覚していなかった自身に気づき深く分析することで何を最優先したいか考える上でのヒントになり、新たなフィールドで挑戦をするという大きな決断ができたそうです。迷ったときに進む道を自分で決められるようになるには、経験を増やして視野を広く持つこと、色々な選択肢を知っておくこと、溢れる情報の中から取捨選択ができるようになることがとても大事ですと仰っていました。現在はブログやYouTubeなどの情報発信、数百人規模のキャンプイベントの企画、書籍やWeb記事の執筆・監修を行う有沙さんですが、全く異なる分野の仕事のようで教師としての経験は何一つ無駄がなくすべて役立っており、教える内容が教育課程からキャンプに変わり、教育のステージは教室を飛び出しインターネットを通じて日本や世界へ変わっただけのことと笑顔で語っていました。主宰のポジラボは『可能性研究室』という意味で大人も子供も可能性は無限大、いきいきと生きる大人は子供の最強のお手本。ワクワクする人をもっと増やしたいと名付けられたそうです。キャンプは衣・食・住の凝縮であり、あえて自分を不便な環境に置くことで防災時のスキルを身につけることもできて、キャンプを通じて生きることの楽しさを伝えたいという力強い言葉が印象的でした。
『自分が成長したいなら環境にこだわること。手足を動かしてどんどん行動し、たくさん失敗も経験して、とにかく今を楽しんで欲しい!仕事でも仕事以外でも人生を豊かにするツールを持ってください。』という締めくくりのメッセージでした。会場をくまなく眺めて淀みなく話す有沙さんにみんな釘付けで、終了後あんなに生徒さんに囲まれていた講師ははじめてです。有沙さんが醸し出す根っからの教職気質や何を聞いても優しく丁寧に教えてくれそう、という雰囲気がよく伝わるのでしょう。スライドは色彩豊かでその場所に行ってみたくなる魅力的な写真ばかりでした。キャンプや北海道の大自然にご興味のある方、ぜひポジラボにアクセスしてみてくださいね!
ポジラボURL
https://possi-labo.com/
文責 企画部 鬼原理枝
六華ゼミ第五回のお知らせです。
日時:2023年11月10日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・ 第1視聴覚室
講師:高橋 知里
職業:特定非営利活動法人 パルシック パレスチナ事務所代表
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第五回 開催のご報告
11月10日(金)に六華同窓会2023実行委員会による【2023六華ゼミ第五回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第五回は 特定非営利活動法人パルシックパレスチナ事務所代表 高橋知里(たかはしちさと)さんによる講演
『さまざまな社会や文化背景の人たちと一緒に働くことの面白さ:国際協力の現場に飛び込んでみた』
雨模様、気温は冬の気配も感じられる肌寒さ。視聴覚室は通路の椅子が埋まる満員御礼状態で熱気に包まれています。
連日報道がなされる緊迫したパレスチナ。そこで活動する高橋さんの講義とあり、生徒さんたちの関心の高さがうかがえます。
身の安全のため隣国のヨルダンから今回初となるリモートでの開催。前回同様、25年前に担任をして下さった岡先生も駆けつけて下さいました。スタッフ含めた会場全体が緊張と興奮に包まれる中いよいよスタートです。
高校生の時あまり勉強は・・・大学に入ると全日本の強化選手に選ばれるほどセパタクローに没頭する日々。
4年生で引退してからは専攻していた社会心理学の勉強にシフトしていきます。そして、海外研究者との共同研究・国際学会で発表の経験などを経て、ある気持ちが芽生えます。さまざまな社会や文化背景の人たちと一緒に働くことは、面白い。
国際協力活動へのきっかけとなったのは、中国で貧富の差、過酷な状況にある子供たちがいる事実を目の当たりにした事。台湾・中国と共同研究をした時の事です。
―そんな子供たちに何かできることはないだろうか。
博士号取得後日本を飛び出し、オーストラリアのフリンダース大学で国際開発学を学びます。卒業後2011年にパルシックに入職することとなります。
パルシックはアジアを中心にスリランカ・パレスチナなど、世界各国において国際協力活動を行うNGO(非政府組織)。国と国との協力である「国際協力」ではなく、市民と市民との協力を支える「民際」協力とフェアトレードを主な活動内容としています。
自然災害や紛争で被害を受けた人々が平和な生活・経済活動を取り戻すための支援をしている、との事。高橋さんは、スリランカ南部にて有機紅茶栽培農家をフェアトレード商品で支援したり、使わなくなったサリーからエコバックなどを製品化して生活の足しにしてもらう活動に携わっていたそうです。
パレスチナに来たのは2022年10月。ヨルダン川西岸地区でゴミ問題に対しゴミの分別と再利用による農産物の生産拡大に取り組む循環型社会作り事業や、ガザ地区における羊の畜産支援活動を行ってきました。
「パレスチナならではのゴミ問題」。その理由はパレスチナの現状と複雑な歴史にあり、講義はいよいよ佳境に入っていきます。
日本に一時帰国中の2023年10月7日、ハマスとイスラエルの衝突による空爆のニュースが流れました。
―またか。
急に起こったことではく、2,3ヶ月に1回はガザに空爆があったそうです。現地で活動している彼女ならではのリアルな感想から日常生活の困難さがうかがえます。
ローカルスタッフによれば、なんとか全員無事だけれど水も電気も通信状態もままならない状況との事。食料も不足しており、寝るところを確保するのも困難な極限状態だという事がわかりました。
次にパレスチナ、イスラエル問題の歴史にまつわる話になります。
パレスチナ人、というのは「パレスチナ地方に住む人(現在のイスラム教徒・キリスト教徒)」を指します。他方、行き場を無くし迫害を受けてきたユダヤ人の中で、パレスチナへ回帰しよう、というシオニズム運動が起こります。そこから対立が徐々に激化していきます。
第一次世界大戦におけるイギリスの三枚舌外交、国連のパレスチナ分割決議の後、1948年にシオニスト(ユダヤ人の一部)がイスラエルの建国を宣言します。第三次中東戦争のイスラエル圧勝後も武力で占領地を広げ、パレスチナ人のエリアは狭くなっていきます。それに対して“インティファーダ”という抵抗運動が起きます。
イスラエル軍に石を投げつける草の根運動です。それを支える組織としてハマスも設立されました。その後、オスロ合意により和平への動きもありましたが根本的な解決はなされず悪化しているのが現状です。
現在パレスチナ自治区においても、行政と治安の自治権を許されているエリアはごくわずか。イスラエル軍の監視はとても厳しく、ゴミ処理場を作る事や、壊れた建物の修復さえもイスラエルの許可が必要です。移動にも検問所がいくつもある、非常に制限された生活を強いられています。
そのような現状の中で必要なことは“即時停戦"であると言う高橋さん。
「今喋っている瞬間にも多分空爆は続き、子供たちの命は奪われています。誰に責任があるのか、など検証・議論をするのは絶対に必要ですが、今すべきは即時停戦です。」と強く訴えます。
そして「戦渦を被る人々へ何かしたいと思った人がいたなら、出来る事はこの講義に参加してくれたことが大事なこと。まず知り、今日聞いた話を周りの家族や友人に話し、そして気になった事を調べて下さい。」と続けて訴えます。根本的な問題解決には、関心を持って声を上げ続ける事が必要だからだと。
最後に「今日話した内容は一つの見方でしかなく、色んな情報や意見に触れて、自分で判断して欲しい。考えが変わっていく事も大切です。」という深いメッセージを残してくれました。
終始明瞭な口調でわかりやすく講義をしてくれた高橋さん。落ち着いた声のトーンから、物事に対して常に立ち止まり、多角的に思考して行動を起こす。そんな人生を歩んで来られたのかな、と思いました。紛争が無くなる事が望ましい世界。今後もどうかご無事に活動が続けられる事を願います。
今回は旬で難しい講義テーマ。真剣な表情でメモをとる生徒さんたちの姿が印象的でした。他方で、セパタクローやスリランカでのカレーの話になると表情が緩み、会場は柔らかい空気に包まれました。非常に有機的で奥行きのある講義でした。大変な状況の中講師をつとめてくださり、本当にありとうございました。
ゼミもいよいよ後半戦。講師・スタッフ一同皆さんに楽しんで頂けるように準備してお待ちしておりますので、次回以降も宜しくお願いいたします!
★用語、詳しい説明などぜひアーカイブをご覧下さい★
https://www.youtube.com/watch?v=IxFMJKKX2Xs
六華ゼミ第四回のお知らせです。
日時:2023年10月13日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・ 第1視聴覚室
講師:藤原 奈緒
職業:料理家/エッセイスト
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第四回 開催のご報告
10月13日(金)に六華同窓会2023実行委員会による【2023六華ゼミ第四回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第四回は 料理家/エッセイスト 藤原奈緒(ふじわらなお)さんによる講演
『職業、藤原奈緒 料理=人がよりよく生きるために、自分だけの道の探しかた』
ヘアスタイルもお洋服もふわふわとおとぎ話から出てきたかのよう、すぐに語りへ引き込まれる1/fゆらぎを感じさせるアルトボイス、印象的だったのはページのほとんどが余白となっている本日の講義プリント。これから話すことはあくまで私の場合で正解ではないから、と、生徒さんたちがメモでも絵でも思いついたことを書き込めるようにとの心配りです。書ける範囲はとにかくぎっしり埋めて書いてしまう著者も反省、今回のレポートは気持ちゆったりめに書いたつもりです。
『 Cooking heals yourself. 』
現在東京・小金井市でご自身のお店を持つ奈緒さん、出身の学芸大学の周りには美味しい地場野菜がたくさんあり、野菜を追いかけているうちに現在の仕事が定まったといいます。料理は“生きる”を良くしていくことである、料理は自分の手で自分を幸せにできるツールであるという考えのもと、オリジナルの調味料製造や販売のみならず、雑誌やメディアの取材、レシピやコラムの執筆、イベントや料理教室のディレクションまで、そのすべてに通底した世界観が見受けられます。本講義翌日の六華同窓会でもお土産として配られた『カレーのもと』という調味料は、以前南高近くにあったSavoyというスープカレーのお店の味からインスピレーションを受けて作られた瓶詰めです。『職業、藤原奈緒』と仰るだけあって、ブランド名には『あたらしい日常料理 ふじわら』とご自身の名前も冠してあります。
『悩みや失敗は人生の種である。』
そんな奈緒さんも、幼少期から味覚が過敏な舌に悩んでおり、深夜まで働いて毎日の料理を作ってくれるお母さんに美味しくない、という本音は言えなかったとのこと。小学生の頃から料理を作るようになり、自分の味覚に合う味を工夫して作ることができたのがとても嬉しかったそうです。南高時代はバスケ部のマネージャーだったものの、人に尽くすのはとにかく苦手であると自覚したのがこの頃。年間100回以上の遅刻魔でどうして自分は人と同じことができないのか、と苦しく思っていた時期もありました。家では優等生の役割を演じて、学校ではずっと人からどう思われるかを基準に過ごしていた奈緒さんがはじめて自分でつかんだ選択肢が“料理”でした。鋭すぎる舌は料理家に最適、人に合わせられないのなら自分に合うシステムを作ればいい、という悩みの種からの逆転の発想です。
『ごはんが美味しく作れるときれいな夕焼けを見たような気持ちになる。』
奈緒さんが料理を志した2000年頃は、まだまだ現場は男性社会で女性が自分自身の名前を看板にして仕事をしていくことが難しい時代でした。しかし今でいうブラックな職場でがむしゃらに働く中で、世の中にないものを形にしていく、0から1を作り上げるということが得意だと気づいた奈緒さん。くたくたに疲れた日にも頑張って一品自分で料理を作ってみると、胸の中があたたまって元気が出る。仕事でいつも帰宅が遅い人、忙しくて自分自身のために料理をすることを忘れてしまった人、家に小さいお子さんがいてスパイシーな献立から遠のいている人、様々な状況の人のための“お守り”のような調味料を作ろうと思いつき、2013年に独立。試行錯誤を重ねて今のスタイルに辿りつきました。
悩みはいつか自分だけの宝物になる。自分をよく研究・観察して自分が嫌だなと思うことは無視しない。世の中にないものでも周りの大人に反対されても、これだ!と思ったら自分を信じて挑戦してみてほしい。簡単なものでも料理を作って自分を満たしてほしい、と講師から在校生へのメッセージでした。皆さんからはレシピやお弁当の悩み、ビジネスに関するものまで今回もたくさんの質問をいただき、お味噌汁を作る動画を流したためか!? 会場全体がほっこりとしたあたたかさに包まれた講義でした。
文責 企画部 鬼原理枝
六華ゼミ第三回のお知らせです。
日時:2023年10月6日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・第1体育館
講師:小野 修作
職業:NHK大阪放送局視聴者リレーションセンター開発推進部 部長 (前NHKさいたま放送局 局長)
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第三回 開催のご報告
10月6日(金)に六華同窓会2023実行委員会による 【2023六華ゼミ第三回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第三回は NHK大阪放送局視聴者リレーションセンター開発推進部 部長 (前NHKさいたま放送局 局長) 小野修作(おのしゅうさく)さんによる講演
『人生、つらいことや苦しいことはたくさんある。でもたのしい!~混迷の時代を力強く生きるために私が実践していること~』
猛暑により急遽のリモート開催となった前回(第二回)から約一か月半。すっかり過ごしやすくなった第一視聴覚室に約120名を集めての開催です。超満員の会場は通路にまで椅子が並びます。聴衆の中には、この夏の甲子園南北海道大会を沸かせた野球部の選手たちや田畑監督の姿もあります。
講演の冒頭は、前回講師の水林亨介さんを引き合いに出して。「NHKの人も冗談をいうんだwww」と、豪速球?変化球?を繰り出して聴衆の心をしっかりキャッチ。自己紹介から高校時代の話へと展開されます。
『うまくいかなかった高校時代だけど、今となっては無駄じゃなかった。』
甲子園に行きたくて野球部に入り、ひたすらに野球に打ち込んだ高校生活。笑顔の写真の裏には、どんなに努力をしても上には上がいて、そして練習しすぎて怪我をして、もがき続ける姿がありました。甲子園に行けないのなら高校を辞めようとまで考えた、そんなどん底の経験も惜しみなく披露してくれます。信じる道に全力を注ぎこむ情熱と、目先の事象にとらわれない大局的な思考。聴衆は小野さんの話に引き込まれていきました。
『「堅忍不抜」「自主自立」は伊達じゃない。』
部活動から学業の話へ。大学受験のエピソードが紹介されます。指定校推薦でも不合格になることがあるという事実に視聴覚室がザワザワしました。受験失敗の原因についての冷静な分析では、慢心があった、周囲に失礼なことをした。一つ一つの言葉の重みが堪えます。10月に不合格通知を受け取ってからの一般受験への切り替え。11月、12月、1月、2月と猛烈に勉強して、そして手にした3月の合格。心の支えとなったのは家族の存在でした。高校時代は「3年/一生」以上の価値があるというメッセージは胸にしっかりと刻みつけられました。
『先入観にとらわれずに、自分でやりたいことをチャレンジする。』
紆余曲折を経て入学した早稲田大学でも、やっぱり野球を続けた小野さん。ここで語られたのは壮絶な体育会の世界。高校は私服なのに大学は学ラン!?極限の精神状態の中で引き起こされた奇行に笑いが漏れます。普通に出てくる後輩たちの名前(呼び捨て!)は、有名プロ野球選手ばかり。ものすごい世界に身を置いていたことが分かります。自分の力・可能性を過小評価せずに、高いレベルでチャレンジすることの素晴らしさを伝えてくれた小野さん。「自由な時間は“差”を生み出す。」の言葉が刺さります。野球部を引退して、卒業までのわずかな間に繰り広げられた桜色のキャンパスライフに、ホッとさせられました。
『気付きづらい世の中』
開始から約30分。「飽きてませんか?」と優しく生徒たちを気遣ってくれます。そして、ここからは“経営者”としての仕事の話に。局長・部長としての日常を、写真を交えて紹介。続けて、わが国の放送局の体制について易しい言葉で解説。事実ではない情報から判断することの危うさや、入ってくる情報が偏ることの不都合さを指摘し、公共放送の存在意義に気づかせてくれました。
『リーダーにしか見えない景色』
全国最年少の局長・部長にどのような経緯で就いたのか。ここでも出てきたのは、“チャレンジ”という言葉。理想のリーダーとは何か。心がけていることや実践していること、年上の部下との付き合い方、評価の二面性、さらには組織の舵取りについて、将来同じように若くしてリーダーになるかもしれない後輩たちに向けて、柔らかくも強い言葉で伝えてくれます。一番大切なことは行動と熱意、前年の踏襲はつまらない、心と身体が元気だとチャンスが広がる。高校生が今すぐにでも実践できることがたくさんありました。
『見返りを求めない努力』
残り5分。圧倒的な言葉の力で展開されてきた小野さんの講演は、2人の偉人の語録紹介で幕を下ろします。小野さん自身が影響を受けたという、エディー・ジョーンズと渋沢栄一。加えて、小野さん自身がNHKの後輩たちに伝えている言葉も。最後の最後まで一言も漏らすまいと、熱い視線で小野さんを見つめる聴衆の方々がそこにいました。
『すごくレベルの高い質問をありがとうございます!』
質疑応答。スクランブル化やネット展開など、極めて専門性の高い質問が飛び出します。小野さんは海外の事情なども引き合いに出しながら、1つ1つ丁寧に答えてくれます。そこには、NHKへの自信や愛情のようなものも感じられました。南高の志望理由、好きなNHKの番組、民放ではなくNHKを選んだ理由など、質問は多岐にわたります。和やかな雰囲気の中、たいへん充実した質疑応答の時間となりました。
文責 企画部 鶴岡 理
六華ゼミ第二回のお知らせです。
日時:2023年8月25日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・第1視聴覚教室
(オンライン開催に変更となりました)
講師:水林 亨介
職業:IT エンジニア
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第二回 開催のご報告
8月25日(金)に六華同窓会2023実行委員会による 【2023六華ゼミ第二回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第二回は Google Cloud Japan 所属 水林亨介(みずばやしこうすけ)さんによる講演
『ITと天気と地図とビール』
札幌市内はお盆明けにも関わらず猛暑日が続き、ゼミ当日は生徒さんたちの健康面を鑑みて午前中の完全下校が決定。急遽体育館から視聴覚室へ場所を移し、開催形態は完全オンラインに変更となりました。ゼミ設営隊は卒業以来、懐かしの視聴覚室を訪問。室温30度超えの中、先生がご親切に大きな扇風機を数台準備してくださり、全員汗だくでの設営・開催となりました。
Google社員でありながら気象予報士、狩猟免許を持つ日本産ホップ推進委員会委員、2009年未踏IT人材発掘・育成プロジェクト採択者と素晴らしい経歴をお持ちの水林くんなのですが、設営隊員曰く、見た目は完全に“アロハを着ている亀仙人(笑)”!! タイトル4つのどこがどうつながっているのだろう、というワクワクした気持ちをのせていざスタートです。
6歳からお父さまのマイコンに触る根っからのエンジニア、一世を風靡したWindows95発売時にちょうど南高1年生、すでに自身のPCを入手していたそうです。ビールは苦くてはじめは嫌いだったということですが、22歳時に人生を変えるギネスビールとの衝撃の出会いを果たしビール沼にはまっていきます。卒業旅行もビールを飲みたいがためにベルギーを訪れたという水林氏。飲んで楽しむだけにとどまらず、ビールの原材料のひとつで苦味や旨味の決め手になるという、毬花の緑が鮮やかなホップに注目。開拓使顧問ケプロンの助手であったトーマス・アンチセルが1871年に野生のホップを発見したことがきっかけで道内にたくさんホップが栽培されるようになり、1876年から現在のサッポロビールの前身である『開拓使麦酒醸造所』が開業。本業は位置情報アプリの開発に従事しているだけあってご家族とともにその開拓使の足跡を追って旅行されたそうです。明治初頭の札幌市内は驚くほど建物も何もない野原でしたが、やがて各所にホップ畑ができて現在もその痕跡が残っていることなど、紹介してくれた地図の変遷から歴史がよく理解できました。
2016年には、岩手県遠野市にてFIELD HACK TONO というGoogle社主催の東北支援プロジェクトに参加(社員ではなく公募で応募)。日本全国の最先端技術と地域資源や人材がつながり、その地域の可能性を生み出していくという試みで、水林くんは気象予報士という立場から「気象予報とAI(人工知能)によるホップの栽培管理」を担当。地元の農家さんの年間作業日誌をデータ化→その期間の気象データをAIに学習→google cloud環境を活用し統計の解析を行って今後の気象データからホップ栽培における農作業のタイミングを的確に予測することに成功しました。高齢化するベテラン農家さんの世代交代は全国でも非常に難しい問題で、農家さんしか知り得ない知識や経験の蓄積がAIによって新規参農する方々の手助けになる可能性が開けるという素晴らしいプロジェクトの内容に、ITと天気と地図とビール、ここでつながったかー!!!と鳥肌が立ちました。ちなみに、気象予報士からのすぐに使える豆知識としては、予報が同じ雨だとしても信頼度(Aバッチリ B まずまず C 自信なし)をチェックしたり、気温の予想範囲も見てみてくださいね、とのことでした。
最後に、その時点の自分にとっての面白い・興味があることを追求していくとあとからどんどんつながってくるかもしれないので、ぜひ『自分の好きなこと』を大切にしてくださいと在校生へのメッセージをいただきました。自分自身が大好きなもので形作られている水林くん、皆を和ませる笑顔や柔らかい雰囲気がとても素敵な方で、実験ではペットボトルに雲を作ってくれて大盛り上がり!実際に会場で皆様に見ていただきたかったです。急遽完全オンライン開催となりましたが、Zoomに慣れていない生徒さんたちも一生懸命チャットで質問して下さり、たくさんの方々のご参加を企画部・設営隊一同、心より感謝申し上げます。まだまだ配信には至らぬ点が多いかと思いますが、回を重ねるごとにノウハウを共有してアップデートしていきますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
文責 企画部 鬼原理枝
六華ゼミ第一回のお知らせです。
日時:2023年6月23日(金) 15:30-17:00
場所:札幌南高校・第1体育館
(第1視聴覚教室から変更になりました)
講師:石川 理子
職業:神経科学者
zoom視聴希望者の方は、下記の申込フォームから申込みをお願い致します。
(申込受付は終了しました)
六華ゼミに関するお問い合わせ先メールアドレス:
[email protected]
六華ゼミ第一回 開催のご報告
6月23日(金)に六華同窓会2023実行委員会による 【2023六華ゼミ第一回】が開催されましたので、ご報告申し上げます。
第一回は 慶應義塾大学医学部生理学教室 助教 石川理子(いしかわあやこ)さんによる講演
『私が感じる世界の不思議~脳とはいったい何なのか?』
何と集まった緑ジャージの南高1年生は230人を超えていました!開催場所は急遽視聴覚室から体育館に変更となりました。しかも皆さん、続々と最前列から順番に座って下さり、『我々の高校時代はこんなに真面目だったかな、、、?』と胸に手を当てて考える設営チーム。
石川さんは海外産まれ札幌育ち、中学で全国駅伝の代表選手に選ばれ、高校では陸上部に所属し、ひたすらタイムをのばすこと以外は考えていなかったという高校時代。学生の皆さんは現在の自分の毎日と重ね合わせている様子で一生懸命メモを取り、理子先生のお話にどんどん引き込まれていました。
話題は脳機能の不思議に移っていきます。脳はだまされる臓器であり、目で見ているものをそのまま変換しているわけではなく、いきいきとした感覚として認識しているそうです。『さて、自分の見ている赤と他人の見ている赤は果たして同じ色なのでしょうか?』という問いかけに、はっと気づかされる我々。持った感覚としては小さいボールがより重く感じるのに、実際に重さを測ると大きいボールのほうが重たいということを、前に出てきた学生さんが実験してくれました。脳には約100億個の神経細胞があり、細胞同士は互いに独立したクラスターを形成してつながっていること、神経回路を調べる実験手法の動画の紹介もあり、脳の実験は地道でとても細かい作業の積み重ねであることを知りました。色・形の把握は生後の様々な視覚経験に基づくものであること、物を見る能力は光に依存することを証明するため、わざとラットの目が見えないよう工夫して育てるという実験に皆さんとても興味があったようです。
印象的だったのは石川さんの研究者としての姿勢です。研究者は皆、必ずしも世の中の役に立つと思って研究をしているわけではなく、すごくシンプルに『わからないことを知りたいと思う気持ち』を追究しているとのことでした。現役生へのメッセージはたくさんの本を読むこと、もし超えられない壁にぶつかったら知識のある誰かを頼って質問してほしいこと、皆さんの目の前にはいかに多様で素晴らしい世界が広がっていることを知って欲しいと仰っていました。あとは、女性研究者がもっともっと増えてほしいこと、『結婚・出産を経ても好きな研究を続けられるよう先人の我々が環境整備を何とかしますから、胸を張って理系に進んでください!』との力強い言葉に感動しました。講義時間ぎりぎりまで答えきれないほどたくさんの質問があり、事後アンケートにも丁寧に回答していただき、現役生の積極的な姿勢が素晴らしいと感じた六華ゼミでした。
初回ということでまずは会場の運営を優先したためZoom配信に不備が多く、当日視聴して下さった皆様にはお詫び申し上げるとともに、今回の反省点を次回以降のゼミにしっかりと反映して参ります。アーカイブ配信もどうぞ楽しみにお待ち下さいませ。
文責 企画部 鬼原 理枝